週刊少年ジャンプの発行部数が、初めて100万部を割りました。2026年4〜6月の平均で98万5,000部。日本雑誌協会が公表している印刷証明付きの数字です。
ニュースを見て「ああ、雑誌が読まれなくなったんだな」と思った方が多いと思います。私も最初はそう思いました。
でも調べていて、手が止まりました。その直前の7月13日、ジャンプ33号は50万部も増刷したのに、発売日に売り切れていたんです。部数が減っている雑誌が、増刷しても足りない。この2つは同じ時期の話です。
- 98万5,000部という数字の中身
- 7月の33号で何が起きていたか(50万部増刷して完売)
- 653万部だった1994年と今、何が変わったのか
- 数字が減っても作品が届いている理由
98万5,000部という数字を整理します
まず今回の数字を、時系列で並べてみますね。
| 時期 | 発行部数 |
|---|---|
| 1994年(ピーク) | 653万部 |
| 2017年 | 200万部を下回る |
| 2026年1〜3月 | 100万4,167部 |
| 2026年4〜6月 | 98万5,000部(初の100万部割れ) |
1〜3月が100万4,167部でしたから、わずか3か月で2万部ほど下がって、ちょうど大台を割った形です。数字としてはギリギリのところでした。
もうひとつ、今回のニュースで見落とされがちなのがこちらです。
雑誌全体の話であって、ジャンプだけの話ではない。ここは押さえておきたいところです。ちなみにこの「印刷証明付き部数」という公表のしかたが始まったのは2008年からで、それ以前の653万部は別の集計になります。

その1か月前、33号は50万部増刷しても売り切れていました
ここが今回いちばん面白いところです。2026年7月13日に発売された33号で、何が起きていたか覚えていますか。
ONE PIECEの連載29周年を記念したカードの付録がついた号でした。集英社は事前に需要を見込んで、通常より約50万部も増刷しています。それでも、
- 発売日の朝からコンビニ・書店で完売が相次いだ
- フリマアプリに転売が大量に出た
- コンビニと書店は1人1冊の制限をかけた
- 集英社が品切れを謝罪(7月17日)
- 付録カードなしの特別版を受注販売すると発表
- 付録カードの綴じ込みを当面見合わせると決めた
雑誌の再販売そのものが、「こち亀」最終回以来だったそうです。それくらい異例のことでした。
98万5,000部というのは4〜6月の平均ですから、この33号の騒動は、まだ数字に入っていません。次の7〜9月の集計がどうなるか、私はけっこう気になっています。
ただ、ここは正直に書いておきたいところです。この号が売れたのは、漫画が読みたかったからではなくて、カードが目当てだった人がたくさんいたからです。転売が問題になったこと自体が、その証拠ですよね。
だから「ジャンプはまだ売れている」と単純に言い切るのは違うと思います。中身を読みたい人が50万部ぶん増えたわけではないので。
それでも、この騒動が教えてくれることはあります。理由さえあれば、人は今でも紙の雑誌を買いに走るということ。付録という分かりやすい理由がついた瞬間に、あれだけの人が朝からコンビニに並んだわけですから。紙で買う習慣が消えたのではなくて、毎週買う理由のほうが薄くなっていた、という言い方のほうが近いのかなと思っています。

653万部の時代と今、何が変わったのでしょうか
1994年の653万部と、今の98万5,000部。数字だけ見ると6分の1以下です。でも、その間に変わったのはジャンプの中身ではなくて、私たちの読み方のほうだと思っています。
昔は「雑誌を選ぶ」しかなかった
思い返すと、あのころは好きな漫画を読むには雑誌を買うしかありませんでした。1本の連載を追いかけるために、まるごと1冊買う。読み終わったら学校や職場で回し読みする。友だちの家に行くと、必ず誰かが持っていましたよね。
ここで正直に書きますが、私はサンデー派でした。
理由は単純で、名探偵コナンが読みたかったからです。それだけの理由で毎週サンデーを買っていました。今考えると、コナン1本のために1冊買っていたわけです。でも当時はそれが当たり前でした。他に方法がなかったので。
ジャンプが嫌いだったわけでは全然なくて、むしろ毎週楽しみにしていた時期もあります。ただ、財布の都合で「どっちか」を選ばないといけなかった。あのころの子どもって、みんなそうだったと思うんです。両方買える子は、ちょっとうらやましい存在でした。
今は「作品を選べる」時代になった
それが今はどうかというと、読みたい作品だけを選んで読めます。アプリで無料公開されている話もあるし、電子版の定期購読なら月額980円で毎号読めます。単行本を待つ人もいる。
しかも今は、ジャンプ以外にも面白い漫画が本当にたくさんあります。いわゆる「なろう系」や転生ものは、雑誌を通らずに世に出てきた作品がごろごろありますよね。webで先に読まれて、人気が出てから単行本やアニメになる。順番が逆になったわけです。
ネットで新しい話がすぐ出せる時代に、あえて紙の雑誌をまるごと1冊買う人が減るのは、正直に言って自然なことだと思います。減ったのは「雑誌を買う人」であって、「漫画を読む人」ではない。
「あ、これジャンプだったんだ」と後から知る
最近わりとよくあるのが、アニメやSNSで話題になっている作品を知って、あとから「これジャンプの漫画だったんだ」と気づくパターンです。
私は完全にこれです。作品としてはちゃんと届いているのに、それがどの雑誌の連載なのかを知らないまま楽しんでいる。昔は「ジャンプの漫画」というくくりで覚えていたのに、今は作品単体で入ってくるんですよね。
これって、雑誌の数字には出ないけれど、作品が届いているという意味では前より強いのかもしれません。雑誌を知らない人にまで届いているわけですから。
つまり、読む人がいなくなったのではなくて、入り口が変わったということなんだと思います。雑誌の名前を通らずに、作品が直接こちらに届く。数字に出ないところで読まれているというのは、たぶんこういうことですよね。
これからどうなりそうか
数字だけを見れば、紙の部数はこれからも下がっていくと思います。ただ、それはジャンプの力が落ちたという話とは別です。
今回の33号のように、「これは紙で持っておきたい」という理由がある号は、今でも売り切れます。付録、記念号、表紙。紙の雑誌は、情報を読むものから手元に残すものに変わってきているのかもしれません。
個人的にちょっと寂しいなと思うのは、回し読みが無くなったことでしょうか。誰かが買ってきた1冊を、みんなで順番に待つ時間。あれはあれで楽しかったなと思います。今の子は自分のスマホで最初から最後まで読めるので、待つ必要がないんですよね。便利になったぶん、無くなったものもある。
とはいえ、今の子たちが好きな作品の話をしているのを聞いていると、漫画を好きになる気持ちそのものは何も変わっていないなと感じます。入り口が紙かスマホかの違いだけ。そう考えると、この数字もそこまで悲しいニュースではないのかなと思っています。
まとめ
- 週刊少年ジャンプの発行部数が4〜6月平均で98万5,000部、初の100万部割れ
- これで国内の紙雑誌から「100万部超え」がゼロになった
- ピークは1994年の653万部、2017年に200万部を下回っていた
- 一方で7月13日発売の33号は50万部増刷しても完売し、集英社が謝罪する事態に
- 再販売は「こち亀」最終回以来の異例の対応だった
- 減ったのは雑誌を買う人であって、漫画を読む人ではない
数字を並べていて思ったのは、「読まれなくなった」と「買われ方が変わった」はまったく別の話だということでした。ジャンプは今でも、理由さえあれば50万部増やしても足りない雑誌です。
次の集計に33号の分が入るので、そこでどう動くかも見てみたいと思います。新しい情報が入ったら、また追記していきますね。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



コメント