
初耳学の『もののけ姫』アフレコ映像で、今わかっていること
放送は8月16日の22時00分から22時54分、MBS・TBS系。「インタビュアー林修」のコーナーに石田ゆり子さんが登場します。面白いのは、同じ回なのにどこを見るかで書いてあることが違う点です。| どこの情報か | もののけ姫への言及 | 書かれていた中身 |
|---|---|---|
| 番組表(Gガイド) | あり | 「宮﨑駿監督が熱血指導&美輪明宏からお叱り」 |
| 番組公式サイト(MBS) | なし | 恋ダンス、伊藤沙莉さんの激白、恩師・緒形拳さんとの絆 |
| 番組公式YouTubeの予告 | なし | 「石田ゆり子がインタビュアー林修に登場」 |
この記事で分かること
・アフレコ映像の場面はどこまで公表されているか
・美輪明宏さんの「お叱り」は誰に向けられたのか
・宮崎駿監督の熱血指導の中身
・番組は「追悼」と銘打っているか
・アフレコ映像の場面はどこまで公表されているか
・美輪明宏さんの「お叱り」は誰に向けられたのか
・宮崎駿監督の熱血指導の中身
・番組は「追悼」と銘打っているか
美輪明宏さんの「お叱り」は誰に向けられたものか
『もののけ姫』で山犬の神・モロの君を演じたのが美輪明宏さんです。美輪さんは2026年6月20日に91歳で亡くなられました(所属事務所が6月28日に公表)。作品に残った声は、今も変わらずそこにあります。 私は最初、スタジオで美輪さんが石田ゆり子さんを叱った場面だろうと思い込んでいました。ところがアシタカ役・松田洋治さんの証言で前提が崩れます。美輪さんの収録は別録りだったというんです。「実は別録りだったんです。最初に録音したのがボクなので、美輪さんの演技を予想しながら演じなければなりません」全員が同じ部屋に並んで録っていたわけではない。お叱りの相手を石田さんだと決めつけるのは早すぎます。 そもそも監督が美輪さんに出した役の説明が独特でした。同じ記事で美輪さんは、宮崎監督から「モロはいわば観世音菩薩」と言われたと書いています。観世音菩薩はただ優しいだけの神様ではなく、救う相手に応じて姿を変え、ときに不動明王のような怒りの形相も見せる。しかも男でも女でもない、性を超えた存在です。そのうえで監督が出した注文が「ふだんの美輪さんのままで」だったというんですから、役への信頼がすごい。 私の本命は①宮崎駿監督に向けられたものです。美輪さん本人が文藝春秋2022年1月号で、モロが乙事主に言葉を投げる場面について「どんな意図で脚本をお書きになったのか」と監督に質問したと書いているからです。答えは「遠い昔、モロと乙事主は良い仲だったんです」。本番は1度のテイクでOK、監督は頬を緩めて「たいへん結構でした」と言ったそうです。 対抗が②石田さんに向けられたもの。ただし別録りである以上、収録現場での出来事とは限りません。③現場全体に向けたものは裏づけが無く、薄いと見ています。
引用:女性自身(2026年6月28日配信)/松田洋治さんの発言
#乙事主とモロが話をするこのシーン。モロを演じた #美輪明宏️さんのアフレコ収録️の際、この場面のモロの声がどうも違うなと思った #宮﨑駿監督は「二人は昔、いい仲だったんです」と美輪さんに説明したんだそうです#もののけ姫 #金曜ロードショー pic.twitter.com/7lJkUkFJKp
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) 2025年8月29日

この記事の場面写真は、スタジオジブリ公式サイトが無償で提供しているものです。2020年10月に『もののけ姫』など6作品から各50枚が公開され、「※画像は常識の範囲でご自由にお使いください。」と明記されています。公式が自分から配っているの、意外と知られていないですよね。
© 1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
© 1997 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, ND
宮崎駿監督の熱血指導は「パンツ履いてないじゃん」だった
もうひとつの「熱血指導」は、実はかなり具体的に語られています。2025年10月20日、東京・TOHOシネマズ新宿での4KデジタルリマスターIMAXプレミア試写会。石田ゆり子さんと松田洋治さん、鈴木敏夫プロデューサーが28年ぶりにアフレコの内側を話しました。「『お前、死ぬのか』というセリフを、『お前、パンツ履いてないじゃん』というふうにやれと言われた」初めて読んだとき、思わず二度見しました。セリフの意味ではなく「軽さ」だけを指定しているんですよね。感情の説明を一切せず、体感で近いものを投げてくる。これが「熱血指導」の正体だと思います。 石田さんは「私一人、居残り授業みたいな感じで」とも語り、「絶対に甘やかさない。多分、私はギリギリまで『この子、やめた方がいいんじゃないか』と思われていたと思う」と振り返っています。監督は誰にでも平等だったそうですが、そこから外れる人もいました。
引用:MOVIE WALKER PRESS/石田ゆり子さんの発言
| 役 | 演じた人 | 収録で語られていること |
|---|---|---|
| サン | 石田ゆり子さん | ひとり居残り。のちに全セリフの録り直しを直訴 |
| アシタカ | 松田洋治さん | 最初に収録。OKが出ずに止まると大変だった |
| エボシ御前 | 田中裕子さん | 「あの裕子さんですら、何度もやり直しが」 |
| モロの君 | 美輪明宏さん | 別録り。「監督の想定を超えていた」 |
| 甲六 | 西村まさ彦さん | 「バンバン一発OK」 |
アフレコ映像はどの場面か、3つの線で予想してみた
ここから先は私の予想です。手がかりは2つ。「熱血指導」と「お叱り」が1つの文に並べて書かれていること。そして収録が別録りだったこと。この2つは、そのままだと噛み合いません。| 予想の線 | 中身 | 見立て |
|---|---|---|
| ①別々の映像を並べる | 石田さんが指導される映像と、美輪さんの収録映像 | 本命。別録りと矛盾しない |
| ②モロとサンが関わる場面 | 山犬の岩屋でモロがサンに語りかけるくだりなど | 対抗。番組としては絵になる |
| ③お叱りは映像でなく回想 | 映像は監督の指導のみ。美輪さんの話は石田さんが語る | あり得る。1行に2つ詰めただけとも読める |

#もののけ姫
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) 2025年10月3日
ヒロイン・サン を演じた#石田ゆり子 さんに特別インタビュー
当時27歳だった石田ゆり子が宮崎駿監督に告げられたこととは#金曜ロード40周年 pic.twitter.com/Lf62SCbyvq
番組は「追悼」とは銘打っていません
ここは正確に書いておきます。『日曜日の初耳学』は、この回を「追悼」とは銘打っていません。 番組公式サイト、番組表、公式YouTubeの予告動画、石田ゆり子さんの公式サイト。そのどこにも「追悼」の語はありませんでした。使われていたのは「もののけ姫で生まれた美輪明宏との絆」という書き方です。 参考までに、TBSラジオは8月9日に美輪明宏さんの追悼特別番組を放送しています。そちらは「追悼」と明記、初耳学はそう名乗っていないという違いですね。局が言っていないことを言ったことにはしたくないので、分けて書きました。
【追記】8月16日の放送はこうだった
放送を見て、答え合わせをしました。先に結論を書きます。お叱りの相手は、石田ゆり子さんご本人でした。私が本命に置いた「宮崎駿監督に向けられたもの」は外れです。| 放送前に立てた予想 | 結果 | 実際はどうだったか |
|---|---|---|
| お叱りの本命は宮崎駿監督に向けられたもの | ❌外れ | 相手は石田ゆり子さん。対抗に置いた②のほうが正解だった |
| アフレコ映像は別々の映像を2本並べる(本命①) | ❌外れ | 流れたのは宮崎駿監督の演技指導の現場映像。美輪明宏さんのくだりは石田さんが語る形で、私が「あり得る」に置いた③が正解だった |
| 収録は別録りだったので、二人が同じ画面に映る映像は存在しにくい | ❌外れ | 石田さん本人が「一緒の収録がありました」と話した |
| 番組は「追悼」とは銘打っていない | ⭕当たり | TVerの配信タイトルも「美輪明宏から愛の説教」。放送でも「追悼」の語は使われていない |
| アフレコのコーナーはかなり短いのでは | ⭕当たり | 放送後に番組公式Xが出したお礼の投稿に、『もののけ姫』も美輪明宏さんも出てこない |
「娘」と呼ばれていた ── 石田ゆり子さんが語った美輪明宏さんとの間柄
まず、私の予想の土台が崩れたところから。石田さんはこう話しています。そのうえで石田さんが「よく愛あるお叱りを」と切り出したのが、番組表にあった「お叱り」の中身でした。美輪さんに「あなた付き合っている人はいるの?」と聞かれ、「いません」と答えたら「恥を知りなさい!」。石田さんは「何かよく分からないけど叱られて。でもそれが凄くうれしかったんですよね」とほほ笑んで振り返っていました。 さらに、テレビ局で顔を合わせるたびに「娘。娘」と呼んでもらったことを話して、「本当に素敵な方でした」と結んでいます。役の上でモロとサンが母と娘だったから、現場でも「娘」だった。作品の中の関係が、そのまま人と人の関係になっていたわけですね。ここは予想の当たり外れとは別に、いちばん心に残ったところでした。 アフレコ映像のほうは、石田さんがサン役について「サンは本当に私にとって難しくて。人間でもない。山犬でもない。男でもない。女でもないみたいな。ものすごい複雑な立場にいる役だったので」と振り返ったあとに流れました。中身は宮崎駿監督の厳しい演技指導が次々に飛ぶ現場の映像。美輪さんの収録映像が続けて流れる、という私の本命の形ではありませんでした。「一緒の収録がありました。サンってモロの娘なので、私のこと、美輪さん『娘』って呼ぶんですよ。『娘。娘』って」
引用:スポニチアネックス(2026年8月16日配信)/石田ゆり子さんの発言
なぜ外したのか ── ひとりの証言を、収録全体の話に広げてしまった
外した理由もはっきりしています。私はアシタカ役・松田洋治さんの「実は別録りだったんです」という証言を、収録全体がそうだったという意味に読んでしまいました。 松田さんはいちばん最初に録っているので、美輪さんとは別録りです。それは事実。でもそれは松田さんの回の話であって、石田さんと美輪さんが同席したかどうかとは別の話でした。1つの証言をそのまま全体に広げたのが、外した原因です。しかも私はその読みを土台にして「二人が同じ画面に映る映像は存在しにくい」とまで書いていたので、土台が抜けると上に載せた予想も一緒に倒れました。 「追悼」と銘打っていないという読みだけは当たりましたが、これは放送前から確かめられた事実の確認なので、当てたというより踏み外さずに済んだという感じです。まとめ|お叱りの相手は石田ゆり子さんだった
放送で分かったのは3つ。1つめは、アフレコ映像は宮崎駿監督の演技指導の1本だったこと。2本並べるという私の本命は外れました。2つめは、お叱りの相手が石田ゆり子さんだったこと。本命の宮崎監督ではなく、対抗に置いたほうが正解でした。3つめは、番組が最後まで「追悼」という言い方をしなかったこと。ここだけは予想どおりです。 後半は、朝ドラ『虎に翼』で共演した伊藤沙莉さんが自宅を訪ね、妹の石田ひかりさんとの関係にも触れる構成でした。厚く扱われたのは恩師・緒形拳さんとの話のほうで、番組公式が放送後に出した投稿でも、真っ先に挙がっていたのは恋ダンスと緒形拳さんです。『もののけ姫』のくだりは、やはり短いコーナーでした。
この記事は放送前に、番組表・番組公式サイト・番組公式YouTube・出演者の公式サイトと、2025年10月のプレミア試写会レポート、文藝春秋2022年1月号の美輪明宏さん本人の文章をもとに予想を立てて書いたものです。8月16日の放送を見たあと、上に【追記】として答え合わせを足しました。外した予想は外したまま残してあります。
ジブリまわりでは風の谷のナウシカ原作の結末も調べています。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




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